2010年7月11日日曜日

国松長官狙撃事件の真相?

 今日は久しぶりに時間がある休養日だったので、テレビは消して読書に励んだ。老眼が進んで眼鏡かけての読書は疲れるが、最近読書意欲が自分でも異常だと思えるほどこう進している。今日読んだのは『狙撃ー地下捜査官』(永瀬隼介著 角川書店刊)。
帯には「警察庁長官狙撃事件の<真相>はこれだ!」とある。
著者はいま全国ロードショーが始まった映画「ロストクライムー閃光」の原作者で、警察や事件ものに強い作家だ。
 国松長官の狙撃事件は時効を迎えて実際には解決していないが、小説では警察内部の刑事警察と公安警察の対立から事件が生まれたとのプロットを中心に据えている。私も警察を回っていたので冷戦時代に日本の警察が左翼に対して公安警察を膨大に膨らませて人事、予算すべてが公安優位に推移したことは知っている。刑事事件が解決しなくなっているにもかかわらず、相変わらず日本の警察は時代に沿って変わっていかない。
 そこで刑事畑の長官が生まれ、刑事VS公安の構図を変えようとしたことに公安サイドが危機感を抱き事件が起きたーというのが著者の考えだ。これまではオーム真理教の信者説、オーム真理教の信者になった警察官というのが語られて来た犯人像だ。しかし、どれも最終的にはヒットせず未解決事件に終っているのだ。そうした事実を下敷きに著者は大胆なストーリーを提示した。なるほどそう言うこともあるのかもしれないなあ、と思わせるなかなか読ませる本だ。警察の公安部門の闇の深さが読後感としては恐ろしい程に迫って来る一冊だ。